税理士・会計事務所＠千葉県　高橋会計事務所　八千代市　習志野市　船橋市

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	平成２７年度税制改正

Ⅰ．法人課税

１.法人実効税率の引下げ


	法人の所得に対して課す実効税率は、現在、全国平均 34.62％（東京都の場合は35.64％）とアメリカに次いで高い割合となっています。27年を初年度として、数年で、ドイツやアジア諸国などと同程度の20％台まで引き下げることを目指すとしています。　27年度には2.51％下げて32.11％に、28年度には0.78％以上下げて31.33％以下にすることになりました。　このうち法人税の税率は、現行の25.5％から平成27年には23.9％に引き下げられます。

２.法人事業税の外形標準課税拡大


	外形標準課税は資本金1億円以上の大法人を対象とする法人事業税の一つで、付加価値割と資本割からなります。外形標準課税の法人事業税全体に占める割合は、現行では4分の1ですが、これを27度から2年間で2分の1に拡大します。これにあわせて法人事業税のうちの所得割の税率を引き下げます。　具体的には、現行、付加価値割は報酬・給与や支払利子などの総額に0.48％の税率をかけて計算し、資本割は資本金等の額に0.2％の税率をかけて計算しますが、これが図表1のようになります。所得割の税率は現行の7.2％から4.8％にまで引き下げられます。　なお、所得拡大促進税制の要件を満たす場合には、給与等支給総額の増加分を付加価値割の課税ベースから控除する制度（地方版の所得拡大促進税制）が導入されます。

３.欠損金の繰越控除制度の見直し


	当期の赤字金額を次年度以降に繰り越すことができるのが欠損金の繰越控除制度です。大企業については、現行、繰越控除の上限が当期の黒字の80％までとされていますが、27年度以降は65％に、29年度以降は50％に縮小されます。　ただし、再建中の法人や新設法人への影響に配慮し、これらの法人について７年間は所得の全額を控除可能とする特例が設けられます。なお、中小企業については、この見直しによる影響はありません。　また、この見直しによる企業の負担増にも一定の配慮がなされ、控除限度額が50％に縮小される29年度以降、欠損金を繰り越せる期間を現行の9年から10年に延ばすことになりました。

４.研究開発減税の見直し


	研究開発減税には主に３つ種類があります。研究開発費総額の８～10％（中小企業は12％）を法人税額から差し引く「総額型」、研究開発費を増やした企業の法人税を軽減する「増加型」、売上の10％を超える研究費の一部を控除する「高水準型」の３つです。　研究開発減税の大半は「総額型」で、27年度からは総額型の税額控除の上限が30％から25％に引き下げられます。ただし、大学や国の研究機関と共同で研究した場合には30％の控除上限が維持できるようになっています。　また、法人税額から控除しきれなかった税額控除限度超過額は1年間繰り越すことができましたが、 27年度からはこの繰越制度は廃止されることになりました。

５.受取配当金の益金不算入の縮小


	現行では出資比率が４分の１以上の企業からの受取配当金は全額が益金不算入、４分の１未満の企業からの受取配当金についてはその50％が益金不算入とされています。これが27年度から出資比率が３分の１以上の企業からの受取配当金は全額が益金不算入、３分の１未満～５％超の受取配当金についてはその50％が益金不算入、出資比率が５％以下の場合は20％が益金不算入となります。　ただし、特例で、保険会社については出資比率が5％以下の場合は40％益金不算入という措置が設けられます。　また、株式投資信託の収益分配金については、現行では分配金の２分の１の額について50％益金不算入とされていますが、 27年度からは０％益金不算入つまり全額益金算入となります。

６.外国子会社配当金の　　　　　　　　益金不算入制度の見直し


	現行では外国子会社からの受取配当金はすべて益金不算入制度の対象ですが、子会社の所在地国で損金算入が認められる配当（例えばオーストラリアの優先株式等）については、支払いを受けた日本の親会社の益金に算入して課税されることになります。

７.所得拡大促進税制の拡充


	所得拡大促進税制は、企業に従業員の賃上げを促すことをねらいとして、給与支給総額を増やすと増加分の10％を法人税額から控除できるという制度です。　28、29年度の適用条件は給与支給総額を24年度から５％増やした場合と決められていましたが、大企業は28年度に限って４％増、中小企業は28、29年度を３％増にすれば適用を受けることができるようになります。

８.地方拠点強化税制


	地方に本社機能を移したり（移転型）、地方の本社を広げたり（拡充型）した企業に減税する制度が創設されます。減税を受けるためには移転や拡張計画をつくり、立地先の都道府県から29年度末までに承認を得る必要があります。　例えば、東京23区から地方への移転の場合、新社屋などの設備投資額の７％が法人税額から、従業員の転勤や新規採用によって地方で働く人が増えれば１人につき80万円が法人税額から控除されます。　東京23区以外の地域から地方に移ったり、地方の本社を拡張したりすると、設備投資額の４％が法人税額から、雇用増１人につき50万円が法人税額から控除されます。　設備投資については、どちらの場合でも、税額控除のほか、特別償却を選択することができます。特別償却割合は23区から移転の場合は投資額の25％、その他の場合には15％です。

Ⅱ．消費課税

１.海外からのネット配信に課税


	海外からインターネットで日本に配信される電子書籍や音楽などは、現在、課税対象外取引で、消費税が課税されていません。たとえば、米アマゾン・ドット・コムの海外サーバーから日本の消費者が電子書籍の配信を受けても、消費税を払う必要がありません。　海外企業に比べ、国内企業は競争上不利になっているとの指摘を受け、 27年10月より海外からの配信についても国内取引と同様に8％課税されることになります。　海外からの配信では納税の仕組みが消費者と企業では異なります。消費者向けに配信する場合は、海外企業が日本の国税当局に登録し、消費税を納めます（国外事業者申告納税方式）。企業向けの場合は、配信を受ける国内企業が消費税を納めることになります（リバースチャージ方式）。