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節税対策 |
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個人事業主の節税対策 |
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サラリーマンに比べると、個人事業者は税金の面で優遇されていると一般には言われています。
所得は隠せるし、経費も自由に使えると思われているからでしょう。
これが果たして本当のことなのでしょうか。
答は明らかにノーです。
サラリーマンと自営業の両方を経験したことがある人はわかると思いますが、
個人事業者は税金面で最も不利な扱いを受けている人たちなのです。
最初に、サラリーマンと比べてみます。
まず、収入面についてみていきましょう。
サラリーマンは所得を隠せないが、個人事業者は所得を隠すことができるという人がいます。
本当に個人事業者が所得を隠すことができ、実際に隠しているのでしょうか。
確かに毎年個人事業者の脱税摘発がしばしば報道されていますが、それは個人事業者の中のほんの一握りに過ぎないのです。
大部分の人は所得隠しなんかしていないし、そもそもできないのです。
現在ではほとんどの売上代金が振込みによって銀行口座に入金されるという状況がありますし、
収入を隠しても税務調査でわかってしまうからです。
次に、経費についてみていきましょう。
サラリーマンには給与所得控除があって、経費を使おうが使うまいが一定金額を給与収入から差し引くことができます。しかも、その金額は小さくありません。
そのため給与所得控除を縮小しようという改正の動きがあるのです。
これに対し、個人事業の諸経費は、実際に事業に使った分しか必要経費に算入されません。
その範囲は意外と狭いのです。
また、サラリーマンが退職金をもらうと退職所得控除を差し引いて、それを分のにした額に税金がかけられます。
そのため、ふつうのサラリーマンがもらう退職金であれば、税金はかからないか、かかったとしてもたいした額ではありません。
サラリーマンの収入は給与所得と退職所得に分散されて、自動的に税金の負担が軽減されるようになっているのです。
これに対し、個人事業者は自分に退職金を払うことができませんので、退職所得控除を受けることができないのです。
退職金を必要経費にすることもできず、退職所得控除という税務上の大きな特典も受けられないという、
二重の不利益を負っているのです。
さらに、サラリーマンにかかる税金は所得税と住民税だけですが、個人事業者にはその他に事業税と消費税がかかります。
これがかなり大きな負担になるのです。
消費税は顧客に転嫁できれば問題はありませんが、個人事業者が消費税を顧客に転嫁しようとすると売上が減ってしまうので、
実際にはなかなか転嫁できないというのが実情なのです。
次に、年金所得者と比べてみましょう。
年金所得者は税金面で非常に優遇されています。
例えば、65歳以上の年金所得者については、公的年金等控除というものがあって、収入金額から無条件で120万を差し引くことができます。
年金所得者は不労所得から無条件で最低でも万円を差し引くことができますが、個人事業者は汗水たらしてやっとかせいだ収入から差し引ける経費は実際に収益を獲得するために使われたものだけなのです。
家内労働者等には必要経費の最低保証が認められていますが、その金額は65万円だけです。
こうしてみると個人事業者が不利な扱いとなっていることは明らかです。
その次に、不動産や株式の譲渡所得にかかる税金と比べてみましょう。
不動産や株式を売って儲けた所得には、所得税と住民税を合わせて20%の税率で税金がかかります。
その所得金額がいくら大きくても、20%以上の税率になることはありません。
これに対し、個人事業者の所得には、所得税と住民税を合わせて最高で50%の税率で税金がかかってくるのです。
最後に、個人事業者の税金が法人と比べて不利な扱いとなっていることはいうまでもありません。
このように誰と比べても、またどんな所得と比べても、個人事業者の税金の負担は重いのです。
しかし、税金の負担が大変だと嘆いてばかりいる必要もありません。
個人事業者にはサラリーマンと違って、節税の余地があります。
これが個人事業者の大きな特典です。
上手に節税対策をしていけば、税金の負担はかなり軽減できるはずです。
このようにしてみると、「個人事業者は、何もしなければ税金で最も不利な取扱いを受けている」ことになりますが、
「個人事業者は、節税対策を実施すれば税金で優遇されている」といった方が正しいかも知れません。
それにもかかわらず、何の対策もしていない個人事業者の方が少なくないようです。
これはたぶん仕事が忙しすぎて、税金の勉強をしている時間がないからだと思います。
税法が難しすぎるとか、適当な参考書がないという事情もあるかも知れません。
それにしても、収入を得るためにしている努力の一部を税金対策に振り向けたら、
実質的な手取額がもっと増えるのではと思うことがしばしばあります。
税金面で不利な取扱いを受けている個人事業者の方こそ節税対策が必要なのではないでしょうか。 |
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そんな思いで、個人事業の方向けに節税対策の
本を書きました。
「青色申告から始める
個人事業の節税アイデア115」
ダイヤモンド社刊
本書の内容は次の通りです |
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第1章
節税対策のための基礎知識
1 個人事業の税金について知っておこう
2 所得税の特徴を押さえておこう
3 所得金額の計算方法を理解しよう
4 事業所得について知っておこう
5 所得税額の計算方法を頭に入れておこう
6 事業所得が赤字のときは損益通算せよ
7 住民税の基本を押さえよう
8 事業税について知っておこう
9 消費税の基本的なしくみを理解しよう
10 消費税の納税義務がある事業者とは
11 届出書類は期限通りに提出しよう |
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第2章 青色申告から始める節税アイデア
1 個人事業の節税は青色申告から始まる
2 まずは青色申告の承認申請をしよう
3 青色申告者の義務を知っておこう
4 青色申告の特典をフルに活かそう
5 65万円の青色申告特別控除を受けよう
6 青色専従者給与を必要経費に算入しよう
7 小規模事業所得者の特例を利用せよ |
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第3章 売上・仕入の節税アイデア
1 売上を隠してはいけない
2 売上げの計上を翌年に繰り延べよう
3 検収基準で売上を計上しよう
4 委託販売は売上計算書到達日基準を採用せよ
5 年をまたがる工事は工事進行基準を適用せよ
6 長期割賦販売では延払基準を適用しよう
7 見積売価は低めに計上しなさい
8 売上原価は高めに見積計上しよう
9 棚卸資産の最終仕入単価を引き下げなさい
10 棚卸資産の付随費用は%以内にせよ
11 仕入関連費用は直ちに必要経費に落とそう
12 小規模事業者は現金主義を採用しよう |
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第4章 諸経費を使った節税アイデア
1 必要経費になるものはモレなく計上しよう
2 家事関連費を忘れずに必要経費に算入しよう
3 領収書なしでも諦めてはいけない
4 租税公課はモレなく必要経費に算入しよう
5 慰安旅行には従業員と一緒に行こう
6 従業員の交通反則金等は給与として支給しよう
7 研修費用を上手に使おう
8 従業員の食事代は月3500円までにしよう
9 パート等の給料は月87,000円未満にせよ
10 親族に給料を支払うときはここに注意しよう
11 親族に地代家賃を支払うときの注意点は
12 親族から事業資金の提供を受けるときの注意点は
13 親族に借入金利子を支払うときはここに注意しよう
14 中小企業倒産防止共済に加入しておこう
15 家内労働者等は必要経費の最低保証65万円使おう
16 固定資産の減価償却は定率法で行おう
17 備品の購入額は10万20万、30万円未満に抑えよう
18 ホームページ製作費用は必要経費で処理せよ
19 事業用資産の損失を必要経費に算入しよう
20 損害賠償金は相手方に申し出た金額を必要経費に
算入しよう |
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第5決算・申告前の節税アイデア
1 消耗品を多めに購入しておこう
2 費用はまとめて早めに支払っておこう
3 未払となっている費用もモレなく計上しよう
4 棚ざらし商品等については時価で評価しよう
5 不良債権は貸倒れとして処理しよう
6 貸倒処理できない不良債権は譲渡せよ
7 貸倒引当金を繰り入れよう
8 固定資産の修理を前倒しで行おう
9 税法の形式基準を上手に使って修理しよう
10 値下がりしたゴルフ会員権を売却しよう
11 値下がりしたマイホームを売却してしまおう |
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第6章 所得控除を使った節税アイデア
1 所得控除はもれなく受けよう
2 廃業後の備えも兼ねて小規模企業共済に加入しよう
3 老後の備えも兼ねて確定拠出年金に加入しよう
4 特定の寄付をしたときは寄付金控除を受けよう
5 個人年金保険に加入しよう
6 医療費がかさんだときは医療費控除を受けよう
7 医療費控除は所得の多い人が受けよう
8 同居していなくても扶養控除はモレなく受けよう
9 扶養控除はその年の所得の多い人が受けよう
10 扶養親族の収入は103万円以下に押さえよう
11 災害、盗難、横領にあったときは雑損控除を受けよう
12 雑損控除はモレなく受けて控除しきれない分は
繰り越そう
13 生計を一にしている親族の分もモレなく控除しよう |
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第7章 申告・納付での節税アイデア
1 損益通算しても赤字が残るときは3年間繰り越そう
2 赤字の金額は前年に繰戻して還付を受けよう
3 臨時所得などがあるときは平均課税で税金を減らそう
4 借入金でマイホームを取得したときは税額控除を
受けよう
5 政治献金をしたら税額控除を受けよう
6 災害にあったときは税金を免除してもらおう
7 所得が減ったら予定納税額の減額を申請しよう
8 税金の口座振替で納期を1ヶ月伸ばそう
9 納税資金が不足しているときは延納を利用しよう
10 災害などで困っているときは納税猶予を受けよう
11 申告した税額が不足していたら修正申告をしよう
12 払い過ぎた税金は更生の請求により返してもらおう |
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第8章 消費税でも着実に節税対策
1 消費税の特例の届出書をキッチリと提出しよう
2 原則課税と簡易課税の有利な方を選択しよう
3
大きな設備投資をしたときは消費税の還付を受けよう
4 消費税の還付を受けるときは課税期間を短縮しよう
5 可能であれば輸出を増やそう
6 人材派遣や外注を利用しよう
7 帳簿と請求書等はしっかり保存しておこう
8 消費税の経理は税抜方式で行おう
9 納付予定の消費税等は未払計上しよう
10 法人成りで消費税の免除を受けよう |
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第9章 税務調査に備えるアイデア
1 所得隠しはかえって高くつくことを理解しよう
2 税務調査の種類を知っておこう
3 調査が入りやすい時期を知っておこう
4 調査が入りやすい業種を押さえておこう
5 調査が入りやすい申告の内容を知っておこう
6 抜打調査があったときの対応法は
7 実地調査のパターンを知っておこう
8 帳簿書類は事前に用意しておこう
9 調査時間が短くなるように工夫しよう
10 調査されるポイントを知っておこう
11 帳簿書類の持ち帰りは原則として拒否しよう |
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第10章 法人成りでの節税アイデア
1 法人では代表者に給与を支払うことができる
2 法人だけに認められる経費がある
3 個人事業と法人の税率を較べてみよう
4 所得がどのくらいになったら法人成りすべきか
5 新会社法では法人成りにどんな選択肢があるのか
6 新会社法の株式会社について知っておこう
7 有限会社は設立できなくなるが存続する
8 法人成りするなら合同会社がおすすめ
9 法人にもディメリットがあることを知っておこう |
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